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絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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短文。

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雨が降る、とか雪が降る、とかいったことが感じられるのは人間の五感がまだまだ衰えていない証拠だと思う。
雨が降る前には独特の鼻の奥をくすぐるような匂いがするし、雪が降る前には心まで覆ってしまいそうな暗い雲になる。
それを他人に告げても五割以上の確立で同意してもらえるのではないか。
ただし、降りそうだと思ったときには傘を持たずに出かけていて、結局濡れてしまうことがほとんどなのだけれど。

そんなわけで、抱き締められる、と思った時にはすでに俺は野分の腕の中にいるのだった。

気付くポイントはいくつかあって、それは野分の台詞だったり、家に帰ったときの様子だったり。
「今日は特別に寒い気がします。」
耳が赤い。
帰ったらすぐに外すはずのマフラーをいつまでもつけっぱなしにしている。
「ヒロさんの研究室はあったかいですか?」
飲み物はどっちがいいかと俺が尋ねると、コーヒーではなく紅茶を選んだ。
「明日は俺、休みです。」
メールで昨日知らせてくれたことを、もう一度口に出して告げる。
一口紅茶をすすった野分の手が珍しく俺の手よりも温度が低いことに気付いたときには、その手はすでに俺の背中にまわされていた。

ぬくぬくと二人で体感温度を少しずつ上げていきながら、この察知能力について考える。
五感を駆使してこれを察知したところで、どうしろというのだろう?
別に逃げ出すわけでもなし。
身の危険に直結することだって、年に数回だ。

まあ、さしあたって便利だと思うのは。

「そろそろ離れろって。」
「もうちょっとこのまま……。」
「お前は、」
「え?」

「お前は今とても腹が減っている。」

大当たりです、と野分が腕を緩めると盛大に腹の虫が鳴いた。


野分を飢えさせずに済むというのは二人暮らしをする意義からいっても正しい能力の使い方だと思う。
飯にするぞ、と言えば忠犬の足音がパタパタとリビングに響いた。




END
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