絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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サバクパンダは謎に満ちた生物である。
この言葉は半分は正しく、また半分は誤解であると思われる。
なぜならサバクパンダという生物は我々、この地域に住む人間にとって欠かせない存在だからだ。
まずサバクパンダについて知られていることについて説明したいと思う。
サバクパンダはその名の通り砂漠に住む生物で、水を飲まずに何時間も炎天下の砂漠を歩くことができるという特技を持つ。
その生体の仕組みについて長い間議論が交わされてきたが、ここに私が知り得たいくつかの情報を紹介したい。
まずサバクパンダはその大きな体にたくさんの貯蔵組織を持っている。
体内に脂肪と水分を貯蓄することで、暑い砂漠でも力強く生きていくことができる。
その貯蔵の仕組みについてはまだ解剖学者の見地を待たなければならないが、
経験的に言えることは白い模様部分の多いパンダほど一日当たりの必要水分量が少なくて済む、ということだ。
体毛の模様と水分貯蔵に相関があるなどと言うと笑われる人もいるかもしれない。
しかし私がこの数年パンダたちを育て、ともに暮らしてきて統計的にその事実を示している。
逆に黒い部分が多いパンダは体力があり、連続移動距離が長いという事実も見出された。
この二つの事象から、パンダの白い部分は水の貯蔵部位、黒い部分は脂肪の貯蔵部位ではないかという考察ができる。
親子のパンダはその毛並みの模様も遺伝するが、貯蔵や体力といった生体機能も遺伝することを考えれば何かしらの相関があっても良いと思われる。
巷では全身真っ黒あるいは真っ白なサバクパンダが存在するという噂が流れているという話を聞いた。
残念ながら私は未だそのようなパンダにお目にかかったことはないのだが、
パンダの模様が対立遺伝子によって調節されていることを考慮すれば、
低い確率ではあるものの、そのようなパンダが存在してもおかしくはないだろう。
もしもそのようなオーファンタイプに出会った際には、先に述べた貯蔵部位との関係の研究に大いに役に立つことと思う。
これからも様々なパンダたちとの出会いを楽しみにして、このパンダ飼いの生活を続けたい。
※
「ヒロさん、用事は済みましたか?」
「ああ、待たせたな。」
待ち合わせの時間に市場の端にある茶屋に行くと、野分が大きく手を振った。
猫舌な野分はまだ注文した茶を飲み終えていないようで、俺は隣に座ると自分の分の茶も注文した。
「この原稿が掲載されるのはいつ頃の雑誌ですか?」
「たぶん夏過ぎになると思う。また送ってくれるってよ。」
野分とこの生活を始めてから、俺はサバクパンダの生態について観察してはレポートにまとめていた。
この謎の多い生物を実際に飼育して研究できるケースは稀であるため、俺の原稿は生物雑誌でそれなりの値段で掲載してもらえる。
ただし、パンダ飼いの一族である野分については触れないという約束だ。
「ヒロさんの原稿料のおかげで、だいぶ助かってます。」
「何言ってんだ。お前の家に転がり込んだのは俺の方だし。」
実際俺が野分と生活を始めても、野分の仕事が楽になったり稼ぎが増えたりするわけではなく、
単に食い扶持が一人分増えてしまったというだけなのだ。
俺の得る原稿料なんて微々たるものだが、それでも二人の暮らしの足しになればと思う。
「本当は俺がヒロさんを養ってあげたいです。…なんて言ったら怒りますか。」
「怒る。」
やっぱり、と笑って野分は立ち上がって砂埃をはらった。
いつも日か真っ黒なパンダに出会える日はやってくるのだろうか。
二人でずっといっしょに暮らしていけば、いつかそんな日がくるかもしれない。
その時にはあいつにこう言ってやろう。
お前に出会えてよかったよ、と。
END
この言葉は半分は正しく、また半分は誤解であると思われる。
なぜならサバクパンダという生物は我々、この地域に住む人間にとって欠かせない存在だからだ。
まずサバクパンダについて知られていることについて説明したいと思う。
サバクパンダはその名の通り砂漠に住む生物で、水を飲まずに何時間も炎天下の砂漠を歩くことができるという特技を持つ。
その生体の仕組みについて長い間議論が交わされてきたが、ここに私が知り得たいくつかの情報を紹介したい。
まずサバクパンダはその大きな体にたくさんの貯蔵組織を持っている。
体内に脂肪と水分を貯蓄することで、暑い砂漠でも力強く生きていくことができる。
その貯蔵の仕組みについてはまだ解剖学者の見地を待たなければならないが、
経験的に言えることは白い模様部分の多いパンダほど一日当たりの必要水分量が少なくて済む、ということだ。
体毛の模様と水分貯蔵に相関があるなどと言うと笑われる人もいるかもしれない。
しかし私がこの数年パンダたちを育て、ともに暮らしてきて統計的にその事実を示している。
逆に黒い部分が多いパンダは体力があり、連続移動距離が長いという事実も見出された。
この二つの事象から、パンダの白い部分は水の貯蔵部位、黒い部分は脂肪の貯蔵部位ではないかという考察ができる。
親子のパンダはその毛並みの模様も遺伝するが、貯蔵や体力といった生体機能も遺伝することを考えれば何かしらの相関があっても良いと思われる。
巷では全身真っ黒あるいは真っ白なサバクパンダが存在するという噂が流れているという話を聞いた。
残念ながら私は未だそのようなパンダにお目にかかったことはないのだが、
パンダの模様が対立遺伝子によって調節されていることを考慮すれば、
低い確率ではあるものの、そのようなパンダが存在してもおかしくはないだろう。
もしもそのようなオーファンタイプに出会った際には、先に述べた貯蔵部位との関係の研究に大いに役に立つことと思う。
これからも様々なパンダたちとの出会いを楽しみにして、このパンダ飼いの生活を続けたい。
※
「ヒロさん、用事は済みましたか?」
「ああ、待たせたな。」
待ち合わせの時間に市場の端にある茶屋に行くと、野分が大きく手を振った。
猫舌な野分はまだ注文した茶を飲み終えていないようで、俺は隣に座ると自分の分の茶も注文した。
「この原稿が掲載されるのはいつ頃の雑誌ですか?」
「たぶん夏過ぎになると思う。また送ってくれるってよ。」
野分とこの生活を始めてから、俺はサバクパンダの生態について観察してはレポートにまとめていた。
この謎の多い生物を実際に飼育して研究できるケースは稀であるため、俺の原稿は生物雑誌でそれなりの値段で掲載してもらえる。
ただし、パンダ飼いの一族である野分については触れないという約束だ。
「ヒロさんの原稿料のおかげで、だいぶ助かってます。」
「何言ってんだ。お前の家に転がり込んだのは俺の方だし。」
実際俺が野分と生活を始めても、野分の仕事が楽になったり稼ぎが増えたりするわけではなく、
単に食い扶持が一人分増えてしまったというだけなのだ。
俺の得る原稿料なんて微々たるものだが、それでも二人の暮らしの足しになればと思う。
「本当は俺がヒロさんを養ってあげたいです。…なんて言ったら怒りますか。」
「怒る。」
やっぱり、と笑って野分は立ち上がって砂埃をはらった。
いつも日か真っ黒なパンダに出会える日はやってくるのだろうか。
二人でずっといっしょに暮らしていけば、いつかそんな日がくるかもしれない。
その時にはあいつにこう言ってやろう。
お前に出会えてよかったよ、と。
END
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