絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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ウサギさんがスランプで行き詰っている。
それはもう相当に見慣れた光景ではあるけれど、目の下にクマを作って苦しそうな顔でパソコンに向かっているウサギさんを見るのは俺も多少かわいそうだと思うわけで。
コーヒーをいれ、ホットケーキを焼き、様子をうかがいつつ休憩をすすめたのだった。
「ウサギさん、そんなに大変なの?」
「……ああ」
口数が少ないときは本当に疲れているときだ。
ウサギさんの背中から小説の書かれているパソコンの画面を見ると『美咲』と『秋彦さん』という文字が見えたのでややうんざりしたが、ここでパソコンをひっくり返そうものならもっとひどい目にあうことだろう。
ぐっと我慢しながら、なるべく優しい口調になるようにウサギさんに尋ねた。
「ウサギさんの大好きなBLなのに、書けないことってあるんだね」
「いや、書きたい内容はまとまってるんだが……」
俺のいれたコーヒーを一口飲み、ウサギさんは言った。
原稿はどうやら完成に近いらしい。
ただ、分量が足りないそうだ。
「もうあと原稿用紙2,3枚分ふくらませなくちゃいけないんだが、どうにもうまくいかなくてな」
低レベルな話で申し訳ないが、俺も小学生のころ作文で苦労したクチなので、規定の量の文章が書けなくて困っている気持ちはすごくよくわかる。
大昔の夏休みに泣きながら宿題を片づけていた時のことをぼんやりと考えていると、ふいにあることを思い出した。
「あ!!俺いい方法知ってるかも!!」
「美咲が?しかし美咲の国語の成績は……おっと悪い」
「嫌味な気の遣い方すんな!」
ウサギさんを叱りつけながら、昔にいちゃんに教わった方法を説明した。
「なんか、昔の小説家人は原稿を埋めるために兵隊に番号をかけさせたんだって!」
そうすると台詞で原稿用紙の枚数が稼げるのだそうだ。
俺も作文では十分に活用させてもらった方法だ。
夏休みはこれで乗り切ったのだが、なぜかにいちゃんと学校の先生は泣いていた。
まあとにかく俺が得意げにそう言うと、ウサギさんは目を丸くした。
「へへーん、ウサギさんもしかして知らなかった?」
「いや、なんというか……」
「別にこの方法使ってもいいんだよ?ってウサギさん?」
ウサギさんはわざとらしく深いため息をついた。
「まさか……こんな古典的な方法を実際に実行するヤツがいたとは……」
「いや、だって、いい方法じゃね???」
しばらくウサギさんは考えたあと、こう言った。
「わかった。美咲がそこまで言うのなら、そのアイデアを借りることにしよう」
「ほんとに!?」
「原稿が完成したらお礼に地中海のリゾートに連れて行ってやる」
「それお礼じゃねーだろ!!」
*******
秋彦は、美咲の熱い体を抱き締めて囁いた。
「ありがとう、美咲。俺はお前の言うことならなんでも叶えてやりたい」
「秋彦さん、嬉しい……」
美咲は秋彦の首元にぎゅっとしがみついた。
リビングでは笹の葉がさらさらと揺れている。
本当に秋彦は優しくてかっこよくて、美咲のお願いを何でも叶えてくれる魔法使いのような最高の恋人だ。
今日は七夕だけれど、美咲は逆に織姫と彦星の願いを叶えてあげればいいのに、と思ってしまう。。
だって、美咲と秋彦は365日ずっといっしょにいられるのだから。
さあ言ってごらん、と促され、美咲はおずおずとお願いごとを口にした。
「俺ね、この家のぬいぐるみがどれくらいいるのか知りたいな」
「よしわかった。整列させて番号をかけさせよう」
こんなこともあろうかと、秋彦は家にあるぬいぐるみ全てにコンピュータを仕込んでおいたのだと言った。
信じられないかもしれないが、秋彦にできないことは何もないらしい。
「美咲、点呼をかけてみろ」
「……うん。整列……番号!」
「一!」
「二!」
「三!」
「四!」
「五!」
「六!」
「七!」
「八!」
「九!」
「十!」
「十一!」
:
:
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:
「五百十六!」
そして、静寂が訪れた。
美咲は感動に言葉も出ない。
「……秋彦さん、ありがとう。やっぱり俺は秋彦さんが大好きだよ!」
「ああ、俺も美咲のことが世界で一番大好きだ」
よく晴れた七夕の夜、こうして二人はお互いの愛を確かめ合ったのだった。
*******
「………終わった…寝る…」
「お、おつかれさまー……」
誰が来ても起こさないように言いつけて、ウサギさんは寝室へ引っ込んだ。
相川さんが鬼のような形相で乗り込んでくるのは、それから数時間後の話だった。
END
それはもう相当に見慣れた光景ではあるけれど、目の下にクマを作って苦しそうな顔でパソコンに向かっているウサギさんを見るのは俺も多少かわいそうだと思うわけで。
コーヒーをいれ、ホットケーキを焼き、様子をうかがいつつ休憩をすすめたのだった。
「ウサギさん、そんなに大変なの?」
「……ああ」
口数が少ないときは本当に疲れているときだ。
ウサギさんの背中から小説の書かれているパソコンの画面を見ると『美咲』と『秋彦さん』という文字が見えたのでややうんざりしたが、ここでパソコンをひっくり返そうものならもっとひどい目にあうことだろう。
ぐっと我慢しながら、なるべく優しい口調になるようにウサギさんに尋ねた。
「ウサギさんの大好きなBLなのに、書けないことってあるんだね」
「いや、書きたい内容はまとまってるんだが……」
俺のいれたコーヒーを一口飲み、ウサギさんは言った。
原稿はどうやら完成に近いらしい。
ただ、分量が足りないそうだ。
「もうあと原稿用紙2,3枚分ふくらませなくちゃいけないんだが、どうにもうまくいかなくてな」
低レベルな話で申し訳ないが、俺も小学生のころ作文で苦労したクチなので、規定の量の文章が書けなくて困っている気持ちはすごくよくわかる。
大昔の夏休みに泣きながら宿題を片づけていた時のことをぼんやりと考えていると、ふいにあることを思い出した。
「あ!!俺いい方法知ってるかも!!」
「美咲が?しかし美咲の国語の成績は……おっと悪い」
「嫌味な気の遣い方すんな!」
ウサギさんを叱りつけながら、昔にいちゃんに教わった方法を説明した。
「なんか、昔の小説家人は原稿を埋めるために兵隊に番号をかけさせたんだって!」
そうすると台詞で原稿用紙の枚数が稼げるのだそうだ。
俺も作文では十分に活用させてもらった方法だ。
夏休みはこれで乗り切ったのだが、なぜかにいちゃんと学校の先生は泣いていた。
まあとにかく俺が得意げにそう言うと、ウサギさんは目を丸くした。
「へへーん、ウサギさんもしかして知らなかった?」
「いや、なんというか……」
「別にこの方法使ってもいいんだよ?ってウサギさん?」
ウサギさんはわざとらしく深いため息をついた。
「まさか……こんな古典的な方法を実際に実行するヤツがいたとは……」
「いや、だって、いい方法じゃね???」
しばらくウサギさんは考えたあと、こう言った。
「わかった。美咲がそこまで言うのなら、そのアイデアを借りることにしよう」
「ほんとに!?」
「原稿が完成したらお礼に地中海のリゾートに連れて行ってやる」
「それお礼じゃねーだろ!!」
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秋彦は、美咲の熱い体を抱き締めて囁いた。
「ありがとう、美咲。俺はお前の言うことならなんでも叶えてやりたい」
「秋彦さん、嬉しい……」
美咲は秋彦の首元にぎゅっとしがみついた。
リビングでは笹の葉がさらさらと揺れている。
本当に秋彦は優しくてかっこよくて、美咲のお願いを何でも叶えてくれる魔法使いのような最高の恋人だ。
今日は七夕だけれど、美咲は逆に織姫と彦星の願いを叶えてあげればいいのに、と思ってしまう。。
だって、美咲と秋彦は365日ずっといっしょにいられるのだから。
さあ言ってごらん、と促され、美咲はおずおずとお願いごとを口にした。
「俺ね、この家のぬいぐるみがどれくらいいるのか知りたいな」
「よしわかった。整列させて番号をかけさせよう」
こんなこともあろうかと、秋彦は家にあるぬいぐるみ全てにコンピュータを仕込んでおいたのだと言った。
信じられないかもしれないが、秋彦にできないことは何もないらしい。
「美咲、点呼をかけてみろ」
「……うん。整列……番号!」
「一!」
「二!」
「三!」
「四!」
「五!」
「六!」
「七!」
「八!」
「九!」
「十!」
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「五百十六!」
そして、静寂が訪れた。
美咲は感動に言葉も出ない。
「……秋彦さん、ありがとう。やっぱり俺は秋彦さんが大好きだよ!」
「ああ、俺も美咲のことが世界で一番大好きだ」
よく晴れた七夕の夜、こうして二人はお互いの愛を確かめ合ったのだった。
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「………終わった…寝る…」
「お、おつかれさまー……」
誰が来ても起こさないように言いつけて、ウサギさんは寝室へ引っ込んだ。
相川さんが鬼のような形相で乗り込んでくるのは、それから数時間後の話だった。
END
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