絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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熱いものを注ぎ込んだそれを、ぐちゃぐちゃと見せつけるようにかき混ぜる。
吉野は悔しそうな顔をしていたけれど、気付かないふりをして手を動かし続けた。
「トリ……俺、もう……」
「おしおき、って言っただろ?」
「だって、トリがこんなことするなんて……」
すでに吉野は半泣きになっていた。
吉野を泣かせたいと思っているわけではないが、これがおしおきなのだから仕方ない。
非を詫びて縋りついてくるまで続けると決めている。
これ見よがしに舌なめずりをすると、吉野は唇を噛んだ。
「欲しいか?なら俺をその気にさせるようなおねだりをしてみせるんだな」
「誰が欲しいなんて言うかよ……っ」
精一杯の強がりを鼻で笑い、ずる、と一気に啜り込む。
「トリのばか……!!」
「何とでも言え。絶対に今日は飯を作ってやらん」
そう言って俺は黙々とカップ麺を食べ始めた。
キッチンで俺が一人食べているのを見ていられないのか、吉野はリビングに戻ってソファーの上で膝を抱えた。
今日という今日は腹が減ったと泣いても喚いても飯は作ってやらんと言い渡し、自分の分だけカップ麺にお湯を注いでやった。
もちろん自分の分だけ料理を作ってもいいのだが、俺がそもそも料理をする素振りを見せないことが吉野にはダメージになるだろう。
カップ麺をうまいともまずいとも思ったことがないが、腹を空かせた吉野を見ながら啜る麺は驚くほど味気がなかった。
ものの5分で食べ終わり、スープを流し台に捨てて箸だけを洗っていると、いつの間にか背後に吉野が立っていた。
ぎゅっとシャツを握りしめられる感覚に驚き、思わず動きが止まる。
「ごめん、トリ」
背中に吉野の額が当たるのがわかった。
「……お前が怒ってるのはすげーわかった」
でも、と吉野は言う。
「俺はトリのご飯が好きで、すごく好きで、トリもそれはわかってほしい」
そう言ったあともう一度小さな声で、ごめんなさい、と言ったのだった。
吉野のその声を聞いた瞬間振り返って抱きしめようと思ったのだが、タイミング良くか悪くか吉野の腹が大きな音を立てて鳴った。
「………っ」
「……わ、笑うなっっ!!」
背中越しに吉野の体温を感じながら笑いを堪えていると、吉野の抗議を邪魔するかのように再び腹が鳴るのが聞こえた。
やっとのことで振り向いて吉野の顔を見ると、それはそれは真っ赤で、今度は笑いを堪えきれなかった。
もういい、とむくれる吉野を抱きしめてキスをする。
吉野の唇を探っていると俺まで腹が減ってくるようで、きっと俺の空腹中枢は吉野に支配されているに違いないと思った。
唇を離すと何故か吉野は悲しそうな顔になっていたので理由を聞くと、
俺の口からカップ麺の味がするのがどうしようもなく切ない、と言われた。
なるほどと納得した俺は冷凍庫から虎の子を取り出してきて、今度は吉野の胃袋を満たすために電子レンジの解凍ボタンを押したのだった。
END
吉野は悔しそうな顔をしていたけれど、気付かないふりをして手を動かし続けた。
「トリ……俺、もう……」
「おしおき、って言っただろ?」
「だって、トリがこんなことするなんて……」
すでに吉野は半泣きになっていた。
吉野を泣かせたいと思っているわけではないが、これがおしおきなのだから仕方ない。
非を詫びて縋りついてくるまで続けると決めている。
これ見よがしに舌なめずりをすると、吉野は唇を噛んだ。
「欲しいか?なら俺をその気にさせるようなおねだりをしてみせるんだな」
「誰が欲しいなんて言うかよ……っ」
精一杯の強がりを鼻で笑い、ずる、と一気に啜り込む。
「トリのばか……!!」
「何とでも言え。絶対に今日は飯を作ってやらん」
そう言って俺は黙々とカップ麺を食べ始めた。
キッチンで俺が一人食べているのを見ていられないのか、吉野はリビングに戻ってソファーの上で膝を抱えた。
今日という今日は腹が減ったと泣いても喚いても飯は作ってやらんと言い渡し、自分の分だけカップ麺にお湯を注いでやった。
もちろん自分の分だけ料理を作ってもいいのだが、俺がそもそも料理をする素振りを見せないことが吉野にはダメージになるだろう。
カップ麺をうまいともまずいとも思ったことがないが、腹を空かせた吉野を見ながら啜る麺は驚くほど味気がなかった。
ものの5分で食べ終わり、スープを流し台に捨てて箸だけを洗っていると、いつの間にか背後に吉野が立っていた。
ぎゅっとシャツを握りしめられる感覚に驚き、思わず動きが止まる。
「ごめん、トリ」
背中に吉野の額が当たるのがわかった。
「……お前が怒ってるのはすげーわかった」
でも、と吉野は言う。
「俺はトリのご飯が好きで、すごく好きで、トリもそれはわかってほしい」
そう言ったあともう一度小さな声で、ごめんなさい、と言ったのだった。
吉野のその声を聞いた瞬間振り返って抱きしめようと思ったのだが、タイミング良くか悪くか吉野の腹が大きな音を立てて鳴った。
「………っ」
「……わ、笑うなっっ!!」
背中越しに吉野の体温を感じながら笑いを堪えていると、吉野の抗議を邪魔するかのように再び腹が鳴るのが聞こえた。
やっとのことで振り向いて吉野の顔を見ると、それはそれは真っ赤で、今度は笑いを堪えきれなかった。
もういい、とむくれる吉野を抱きしめてキスをする。
吉野の唇を探っていると俺まで腹が減ってくるようで、きっと俺の空腹中枢は吉野に支配されているに違いないと思った。
唇を離すと何故か吉野は悲しそうな顔になっていたので理由を聞くと、
俺の口からカップ麺の味がするのがどうしようもなく切ない、と言われた。
なるほどと納得した俺は冷凍庫から虎の子を取り出してきて、今度は吉野の胃袋を満たすために電子レンジの解凍ボタンを押したのだった。
END
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