絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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「……よく寝た」
吉野のベッドできっちり正午まで寝ていたおかげで、だいぶ頭痛と気分の悪さはおさまった。
二日酔いなど大学生の時以来だが、昨日の俺はどれだけ飲んだのだと寒気がする。
今朝、水と薬を持ってきてくれたときの吉野の態度から、どうやら俺は相当何か迷惑をかけたらしい。
思い出そうとするとやや頭痛がぶり返すので、うとうとしていても結局あまりたいしたことは思い出せなかった。
まだ若干重たい体を引きずるようにしてリビングへ行くと、真面目に仕事をしている吉野の後姿が見えた。
「おはよう」
「おはよ。気分は?」
「朝よりはマシだ」
あっそう、と軽く返事をして、吉野はまた机の方に向き直ってしまった。
どうやら俺の体調と同じ程度には機嫌は直っていないらしかった。
「昨日は悪かった」
黙々と原稿用紙に向かう吉野の背中に言葉をかける。
仕事の邪魔をしてはいけないから、と口をつぐんでいる選択肢もあったけれど、こういう場合吉野は放置するとどんどん悪い方へ言ってしまうことを俺はすでに何度も学習している。
そして、吉野の手元を見ればほとんどまともにペン先は動いておらず、こいつも何かきっかけを探しているのは一目瞭然だった。
「悪かった、ってことは何か思い出した?」
振り返らないまま、そっけない口調で尋ねられる。
「それが……すまん。俺は迷惑をかけたか?」
「ふううううーん。まっ別にいいけどさーあー」
どう考えても別にいいとは思っていない口ぶりだ。
そして、心なしか顔が赤い。
ふと、嫌な予感がよぎる。
吉野のベッドでまどろんでいたとき、よからぬ夢を見たのだ。
夢の中で俺は吉野を飽き足らぬとばかりに抱いていた。
その吉野は、涙目になって一生懸命俺の下で腰を動かしているのだ。
俺はそれを満足げに見つめていたのだが、
(やけにリアルな夢だったが、まさか……)
あの時以来、絶対に吉野に乱暴なことはしないと誓った。
吉野のことがかわいくて意地悪をしてしまうことがあるが、本気で嫌がって泣かせるようなことはしない。
だけど昨夜、酔いのせいでタガが外れていたとしたら?
吉野に乱暴をしたいという欲望はないと思っているが、万が一があったとすれば吉野に何と詫びたらいいかわからない。
「吉野、昨日俺はお前にひどいことをした、か?」
「……う……ひどいってゆーか……」
「すまない。昨日の晩、お前の顔が無性に見たくなったのは覚えている。その後俺は、お前に…」
「もういい!もういいから!!」
頭を下げる俺に、慌てて吉野が振り返って言葉を遮った。
その表情を見るに、俺は口に出すのも憚られるようなことをしでかしてしまったようだ。
「いや、俺はお前の好意に甘えるわけにはいかない」
吉野に向かって食い下がると、さらに声を荒げられた。
「だーかーらー、そんな大層なもんじゃねーっつーの!!」
これだから酔っ払いは始末におえねーんだよ、とブツブツ言い始めた。
俺が気に病むと思って、気を使ってくれたのかと思ったのだが、どうも本当に違うらしい。
ただし吉野の顔はどんどん赤くなっていく。
「お前さ、いっつもああいうことさせたいって思ってるわけ?」
ぼそぼそと吉野が言った。
「ああいうことって?」
「いや……その……」
しばらく言いよどんでいたが、開き直ってキッとこちらを睨み、叫んだ。
「い、挿れてだとかもう一回だとか、そういうこと言ってほしいといっつも思ってんだろ!!このスケベ!!」
「は…………?」
「けど、もう言わねーからな!!絶~ッ対!!!」
そう叫んだかと思うと、バタバタと寝室に駆け込んでしまった。
(ああ…そういうこと、か)
呆然とそれを見送ったあと、ぼんやりと思い当たる節に気付いた。
確かに、自分から積極的にねだったり動いたりしたりする吉野は眩暈がするほどエロい。
基本的に自分は吉野に甘いので、追い詰めるまではしないのだが。
(思い出せないのが惜しい。……じゃなくて)
どうやら昨晩は過度のアルコールのせいでリミッターが外れてしまっていたようだ。
それを思い出せないとは、吉野も怒るはずだ。
とりあえず、寝室のドアの前まで追いかける。
そっとノブを回すと鍵はかかっていなかったので、少しへそを曲げているだけだとわかり、安心した。
薄くドアを開けて、吉野に声をかける。
「吉野、すまなかった。お前にそんなことしたくせに、看病までさせて悪かった」
「それは……別にいいよ。二日酔い、しんどかっただろ…?」
膝を抱えて部屋の真ん中に座っている吉野に、静かに近づいた。
吉野は、逃げなかった。
「どうすれば機嫌直してくれるんだ?」
吉野の背後に同じように腰をおろし、問いかける。
ちょっと迷うような素振りを見せたあと、吉野は小さな声で言った。
「花」
「花?」
「お前が昨日買ってきてくれたやつ。あれ…嬉しかったから」
だから、と吉野は続けた。
「花束とかどうしたらいいか俺わかんないから、あれ飾っておいてくれたら許す」
嬉しくて笑い出したいのを必死で堪えて背中から吉野を抱き締めると、そのまま吉野の重みが腕の中によりかかってきた。
END
吉野のベッドできっちり正午まで寝ていたおかげで、だいぶ頭痛と気分の悪さはおさまった。
二日酔いなど大学生の時以来だが、昨日の俺はどれだけ飲んだのだと寒気がする。
今朝、水と薬を持ってきてくれたときの吉野の態度から、どうやら俺は相当何か迷惑をかけたらしい。
思い出そうとするとやや頭痛がぶり返すので、うとうとしていても結局あまりたいしたことは思い出せなかった。
まだ若干重たい体を引きずるようにしてリビングへ行くと、真面目に仕事をしている吉野の後姿が見えた。
「おはよう」
「おはよ。気分は?」
「朝よりはマシだ」
あっそう、と軽く返事をして、吉野はまた机の方に向き直ってしまった。
どうやら俺の体調と同じ程度には機嫌は直っていないらしかった。
「昨日は悪かった」
黙々と原稿用紙に向かう吉野の背中に言葉をかける。
仕事の邪魔をしてはいけないから、と口をつぐんでいる選択肢もあったけれど、こういう場合吉野は放置するとどんどん悪い方へ言ってしまうことを俺はすでに何度も学習している。
そして、吉野の手元を見ればほとんどまともにペン先は動いておらず、こいつも何かきっかけを探しているのは一目瞭然だった。
「悪かった、ってことは何か思い出した?」
振り返らないまま、そっけない口調で尋ねられる。
「それが……すまん。俺は迷惑をかけたか?」
「ふううううーん。まっ別にいいけどさーあー」
どう考えても別にいいとは思っていない口ぶりだ。
そして、心なしか顔が赤い。
ふと、嫌な予感がよぎる。
吉野のベッドでまどろんでいたとき、よからぬ夢を見たのだ。
夢の中で俺は吉野を飽き足らぬとばかりに抱いていた。
その吉野は、涙目になって一生懸命俺の下で腰を動かしているのだ。
俺はそれを満足げに見つめていたのだが、
(やけにリアルな夢だったが、まさか……)
あの時以来、絶対に吉野に乱暴なことはしないと誓った。
吉野のことがかわいくて意地悪をしてしまうことがあるが、本気で嫌がって泣かせるようなことはしない。
だけど昨夜、酔いのせいでタガが外れていたとしたら?
吉野に乱暴をしたいという欲望はないと思っているが、万が一があったとすれば吉野に何と詫びたらいいかわからない。
「吉野、昨日俺はお前にひどいことをした、か?」
「……う……ひどいってゆーか……」
「すまない。昨日の晩、お前の顔が無性に見たくなったのは覚えている。その後俺は、お前に…」
「もういい!もういいから!!」
頭を下げる俺に、慌てて吉野が振り返って言葉を遮った。
その表情を見るに、俺は口に出すのも憚られるようなことをしでかしてしまったようだ。
「いや、俺はお前の好意に甘えるわけにはいかない」
吉野に向かって食い下がると、さらに声を荒げられた。
「だーかーらー、そんな大層なもんじゃねーっつーの!!」
これだから酔っ払いは始末におえねーんだよ、とブツブツ言い始めた。
俺が気に病むと思って、気を使ってくれたのかと思ったのだが、どうも本当に違うらしい。
ただし吉野の顔はどんどん赤くなっていく。
「お前さ、いっつもああいうことさせたいって思ってるわけ?」
ぼそぼそと吉野が言った。
「ああいうことって?」
「いや……その……」
しばらく言いよどんでいたが、開き直ってキッとこちらを睨み、叫んだ。
「い、挿れてだとかもう一回だとか、そういうこと言ってほしいといっつも思ってんだろ!!このスケベ!!」
「は…………?」
「けど、もう言わねーからな!!絶~ッ対!!!」
そう叫んだかと思うと、バタバタと寝室に駆け込んでしまった。
(ああ…そういうこと、か)
呆然とそれを見送ったあと、ぼんやりと思い当たる節に気付いた。
確かに、自分から積極的にねだったり動いたりしたりする吉野は眩暈がするほどエロい。
基本的に自分は吉野に甘いので、追い詰めるまではしないのだが。
(思い出せないのが惜しい。……じゃなくて)
どうやら昨晩は過度のアルコールのせいでリミッターが外れてしまっていたようだ。
それを思い出せないとは、吉野も怒るはずだ。
とりあえず、寝室のドアの前まで追いかける。
そっとノブを回すと鍵はかかっていなかったので、少しへそを曲げているだけだとわかり、安心した。
薄くドアを開けて、吉野に声をかける。
「吉野、すまなかった。お前にそんなことしたくせに、看病までさせて悪かった」
「それは……別にいいよ。二日酔い、しんどかっただろ…?」
膝を抱えて部屋の真ん中に座っている吉野に、静かに近づいた。
吉野は、逃げなかった。
「どうすれば機嫌直してくれるんだ?」
吉野の背後に同じように腰をおろし、問いかける。
ちょっと迷うような素振りを見せたあと、吉野は小さな声で言った。
「花」
「花?」
「お前が昨日買ってきてくれたやつ。あれ…嬉しかったから」
だから、と吉野は続けた。
「花束とかどうしたらいいか俺わかんないから、あれ飾っておいてくれたら許す」
嬉しくて笑い出したいのを必死で堪えて背中から吉野を抱き締めると、そのまま吉野の重みが腕の中によりかかってきた。
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