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絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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寒い日が続くのでひなたぼっこの短い話。
久しぶりにエゴです。最近ウサギさんばっかりだった。

「続きを読む」からどうぞ。

拍手[1回]


+ + + + + + + + + +
猫は大変だ。
ふんづけられたり、紙袋に入れて和尚さんに蹴られたり、
歌の中で散々な目に合っている猫たちのことを思っては、行き交う猫たちに頑張れとエールを送ってしまう。
そんな俺の頭の中などおかまいなしに猫たちはあたたかい日向を探し、ふわりと大あくびを見せてくれる。

家に帰れば床に布団を干しながら日の当たる部分に丸くなりやっぱり大あくびをしている可愛い猫っ毛の恋人がむにゃむにゃと迎えてくれた。
とりあえず俺の人生における目標は、この人が歌の中の猫たちみたいな目にあわないように全力で守ることのできる男になることである。
……なーんて本人にそんなことを言おうものなら怒られるか(頭を)心配されるかどっちかになるのだけれど。

背中を丸めて、目が直射日光を浴びないように腕でガードしつつまどろんでいるヒロさん。
最近やっとあたたかくなってきた陽気を全身で満喫している無防備な姿は縦横斜めどこからみても可愛らしい。
残念ながら起き上ってまで出迎えてくれなかったけれど、体の向きをこっち側に向けておかえりと言ってくれたのは、この人なりの精一杯の愛情表現だと思うことにする。
言ったあとはまた窓の方を向いてしまったのはさておき。

「ヒロさん、眠たいですか。」
バッグを下ろし、上着を脱ぎ、ヒロさんの傍にひざまずく。
春の光がさらさらとヒロさんの髪を滑り落ちてはまた空へ帰っていく。
その様子はどんな舞台よりも俺を飽きさせなくて、俺は深呼吸をして幸せを大きく吸い込んだ。
「んん…これで眠くならない方が…おかしい……。」
ヒロさんの寝言のような声とものすごく真っ当な意見につい可笑しくなってしまい、ぐいぐいと俺とヒロさんの顔同士の距離が縮んでいく気がした。
「…布団やべえ……。俺今布団があれば十分…。」
それは聞き捨てならない。
「俺よりも布団ですか。」
「……お前も布団も似たようなもんだろ…。」
それはどういう意味でしょうと聞きたかったけど、一応誉められたと思っておこう。
顔を近づけてヒロさんの髪にキスをしようと思ったのに、思いがけずおすそわけのような衝動に襲われる。
ふわあと俺までつられて大あくびをしてしまった。
それに気付くと震え出すヒロさんの肩。
「俺よりお前の方が眠いんじゃねーの。」
笑い声とともにそう言われてしまったので、俺はお言葉に甘えることにした。
「そうですね。じゃあちょっと失礼します。」
「な……っ」

何をするとヒロさんが言ってしまわないうちに、するりとヒロさんの背中に貼りつくように俺も布団に寝そべった。

「よかったら、枕もどうぞ。」
そう言って、腕をヒロさんの頭の下の差し入れて枕代わりにしてもらった。
「お前は……。」
呆れながらもヒロさんは逃げずにいてくれた。
あたたかな日差しに感謝するべきか。
ヒロさんの体が描く曲線に沿うように自分も体をくっつける。
丸くなるヒロさんをおんなじように丸く抱え込むような形になった。
もちろん膝の裏までぴったりと合わせるようにして。
鼻をくすぐるヒロさんの髪がくすぐったくて、そのままぼふっと顔を埋めた。
「何のつもりだ。」
「猫の親子ごっこです。俺が母猫でヒロさんが子ね……」
「アホかお前は!」
言い終わる前にヒロさんの肘が飛んできた。
「じゃあなんだ、俺はお前の腹の中ってことか?」
「そうですね。でもあったかいでしょう?」
「…それは否定しない。」


ぬくぬくと俺の腕の中でヒロさんがあたたまる幸せ。
こんな幸せ、絶対に手放せるはずなんかない。


「ヒロさん、キスしていいですか。」
「俺はぜってーそっち向かねーからな!」
「わかりました。じゃあ上から失礼しますね。」
ぐるりとヒロさんの頭上から顔を覗き込み、上唇を下唇に、下唇を上唇にそっと押し当てた。
逆さまのキスはいつもと違う感触がして、背中がぞくぞくする。
そのまま手を重ねて握ると、ちょっとだけ考える様子を見せてから握り返して、でもすぐに手を離されてしまった。
いつもは俺の体温が高いと言われるけど、今日のヒロさんの手は俺と同じくらい暖まっている。

そんな甘い雰囲気を振り払うようにヒロさんが跳ね起きた。
「さっ、昼寝は終わりだ!」
「でももうちょっと……。」
「布団敷いてやるから眠かったら自分の部屋で寝ろ!」
眠いんじゃなくてヒロさんともう少しいちゃいちゃしたいですと言おうとしたけれど、問答無用で布団から追い出されてしまった。
「あとお前の布団はもう干してやらん。」
そうは言うもののヒロさんの赤くなった横顔が可愛かったので、俺は元気よく返事をしてしまった。



春は孕み猫の季節。

愛しい気持ちが育ち、生まれる。











END
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