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絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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千秋はわりともう自分一人だけの身体じゃないんだみたいなこと思ってますけど、トリは征服欲とかあるのかなあと思いました。
短めの話です。

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吉野に叩かれた。お前はそんなこともわからないのか、と。
吉野を抱くのは気持ちいい。これまで何人かと関係を持ったことはあるが、本当に好きな相手を抱くのはこんなにも快感をもたらすのだと感心してしまったほどだ。男だから入れて出せればそれで満足なのではないかと言われるかもしれないが、その次元を越えている。吉野は最初は不安そうな表情をしていて、俺の一挙手一投足を見守っている。恥ずかしくなるとたまに目を逸らす。そして吉野の体内に俺が侵入して身体が慣れ始める頃には蕩けた表情になっていて、欲しい、待てないと目で訴えてくる。吉野のその視線と目が合った時、俺の心は最高潮に満たされた。素直じゃないのは口先だけで、吉野の身体は驚くほど素直だ。気持ちのいいところを責めて教えてやれば、自分で腰を使ってくることもあった。同性愛者について多くの知見があるわけではないが、吉野は男を受け入れるのに向いた身体なのではないかと思ったこともある。好きな相手を抱いて、相手もそれを快感として受け取ってくれて、それはとても望ましい状況だとは思うのだ。だけど俺の心に根深く住み着く嫉妬心や卑屈な心がいつも俺に不安に囁いた。あいつの身体を満足させたからと言っていい気になるんじゃないよ、と。
俺が求める。吉野がそれに応えて喘ぐ。俺が気持ちいいか尋ねる。吉野が涙目でうなずく。そうやって抱き合って、お互いに果て、二人でシーツの上に沈んだ。甘い空気の抜け切らない吉野は、俺の睦み言に赤くなったり目を瞑ったりしながらも拒む様子はない。性的なことに慣れていないようだった吉野をここまで陥落させたことで、俺の心には達成感や充足感のようなものが生まれるかと思っていた。もちろん満ち足りた気分にはなる。吉野を抱き締めて眠るときは何よりも幸福を感じる。だけど、俺はついにここまでやってきたのだという思いに浸ることはできずに、つまらない不安が幾度も頭をよぎった。俺の言葉に対して、吉野がこういうことができるのも俺だから特別なのだというようなことを言い返した。その時につい口が滑ったのだ。それは俺じゃなくて俺の身体があればいいんじゃないのか、と混ぜ返すと、吉野の目が真剣な色を帯び、体を起こすと、パン、という音を立てて俺の頬を叩いた。一瞬吉野はしまった、というような怯んだ顔をしたけれど、すぐに口を開いて俺を叱った。お前はそんなこともわからないのか。そう言った吉野の口調は本気だった。俺はお前の身体だけが欲しくて抱かれてるんじゃない。そりゃ確かに気持ちいいけど、それだけじゃなくて、お前と他愛もない話をしたり、朝はお前の作ったご飯を食べたり、そういうのが嬉しくて好きだからお前とセックスをしてるんだ、と。吉野の顔は真っ赤で、本当はこんなことまで言うつもりではなかったのだろう。それでもはっきり言っておかなければ俺がまた一人で悩むのではないかと慮って吉野は言ってくれたに違いない。気持ちいいことだけしたいわけじゃない。ちょっとくらい巧いからって調子に乗るんじゃねーよバーカ、と言われたところで俺は吉野を力の限り抱き締めて謝った。ごめん、千秋、ごめん、と繰り返すと、わかればいい、と言っておでこをゴツンとぶつけられた。
俺が吉野のことを丸ごと好きなように、吉野もまた俺のことを丸ごと好きでいてくれるらしい。いつまで経っても吉野のことに関しては自信のない俺だから、こんな単純なことが思いつけなかった。快感はきっとそれの副産物に違いないのだ。無論、極上の副産物ではあるけれど。
吉野のことを征服したとも籠絡したとも思っていない。快感によって支配されるのではなく、きっと虜になった先に快感があるのだろう。たぶん、俺がそうであったように。
そっと唇を重ねると、吉野は控えめに舌を求めてくる。この口で俺の料理を食べ、俺と喧嘩をし、他愛もない話をする。そう考えると愛しさが胸の中で膨れ上がり、際限のない快感を生むのだった。

END
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