絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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冬のまだ暗い朝でも、目覚まし時計が鳴る5分前に目が覚めて時刻を確認してしまう。
習慣とは恐ろしいものだ。
今も枕元の目覚まし時計に手を伸ばしたところで、ふと考えた。
(今日は休み……、か)
時計のベルが鳴らないように設定し、ごそごそと布団に戻る。
起きればやらなくてはいけないことなど山ほどあるので、普段は滅多に二度寝はしないのだが、
「……トリ、もうちょっと寝てよ……?」
吉野が半分寝言のような声で呼び掛けてきた。
俺を起きさせまいとするように、スウェットの裾を握っている。
昨晩ベッドの中で、吉野とクリスマスの朝は二人で昼まで寝ようという約束をしたのだった。
(今日くらいは仕方ないな)
いつもだったら一人で起きて吉野のために朝飯を作り、適当な時間には起きろと呼びに行くところだが、今朝は特別だ。
二度寝などほとんどしたことはないが、吉野を抱えて横になればあと一時間くらいは眠れるような気がする。
先日入稿が終わりやっと時間がとれたので、年末恒例の大反省会をしてやった。
当然、主に反省するのは吉野の方だ。
毎回毎回きつく反省させていては進行に差し障りがあるので、普段は気持ちを切り替えさせることに重点を置くのだが、
その分年末にまとめてきっちり反省してもらう。
どうして締切を破るはめになったのか。
進行のどこに問題があったのか。
スケジュール把握はきちんとできているのか。
余裕がない時期に遊んでいなかったか。
他の作家はどれくらい早く原稿を上げているのか。
エメラルドの看板作家としての自覚はあるのか。
等など、次から次へとキリがないほど言い聞かせた。
一応吉野は神妙な顔で聞いていたが、来年こそ締切を守るようになるかは甚だ疑問である。
何時間もぶっ通しで反省会をすれば、当然終わる頃には俺も吉野もぐったりしているが、それでも一日でまとめてやってしまう方がいい。
吉野に言いたいことがあるならば、この時に全部言ってしまわなければ、
この後、つまりクリスマスを吉野と過ごすに当たってつまらないことを引き摺ってしまう可能性がある。
気持ちの切り替えが必要なのは俺も同じなのだ。
特に吉野と付き合い始めてからは、なるべく仕事を切り離した二人の時間を作るように心掛けている。
二人きりでいられる時間がそもそも多くないので、つまらない仕事のイライラで水を差されるのは、俺としても不本意だ。
そんなわけで24日、25日は土日と重なったこともあり、無事に吉野と過ごすことができた。
イブである昨日は吉野に邪魔をされながらクリスマスらしい夕食を作り、俺の家でのんびりしていた。
プレゼントももちろん用意してあるが、吉野の『プレゼントはクリスマスの朝って決まってる』という主張により、まだ渡していない。
飯を食って、ケーキを食べて、そのまま慌ただしく抱き合った。
どうせ明日も二人でいるのだから、そんなに急くことはないとは思うが、満足気な吉野の顔を見ていたら我慢ができなかった。
指を滑り込ませた吉野の素肌はいつもよりも熱く、欲情していることが直に伝わってくる。
口にこそ出さないものの、早くとねだられて悪い気はしない。
むしろ歯止めが利かなくなる。
服を剥ぎ取り、思う存分唇を吸い、吐息も漏らさないように折り重なった。
夕食の後片付けも忘れてリビングで貪り合い、最終的に二人ともベッドに沈んだ頃には日付はとうにイブからクリスマス当日へと移っていた。
(……食器、そのままだな)
まだうつらうつらしている吉野の髪を撫でながら昨夜の情事を思い出していたら、ついでにどうでもいいことまで思いだしてしまった。
油っこい料理が多かったので、せめて皿を洗い桶に浸けておけばよかった。
料理はほとんど吉野が平らげたから、冷蔵庫に入れておかなくてはいけないものはなかったはずだ。
朝食を作る前にするべきことをあれこれと考えていたら、すっかり目は冴えてしまった。
時々俺のベッドでぐーすか寝ている吉野を眺めながら、よく寝る奴だと感心していたけれど、なるほど寝るのにも才能がいるのかもしれない。
少なくとも自分に二度寝の才能はないようだ。
ごろりと吉野の方へ向き直り、肩ごと抱え込むと、むにゃむにゃと抗議の声を上げた。
「おい…、起こすなって……。お前もまだ寝てりゃいいじゃん」
「寝れん」
「……はあー?お前いっつも睡眠時間短いくせに、こういうときくらい寝溜めしておかねーと…」
俺のことを気遣ってくれているのはわかったので嬉しくないこともないが、だからといって眠れないものは眠れない。
吉野の寝顔を見ているのも悪くないが、のんきな顔で寝ている姿を見ながら片付けのことを考えるのもなんとなく腹が立つ。
そういえば26日に提出するカラーも、まだこいつは終わらせてなかったのではないか。
「おい、本当に昼まで寝てるつもりか」
「……約束したじゃん。つか、夢だったんだって」
「?」
そう言うと吉野は俺の顔を両手で挟み込むようにして、見つめてきた。
「大体お前と寝ててもさ、お前のが先に起きてんじゃん。下手すると俺が起きる頃にはいなかったりするし」
「それは俺が遅刻するから、」
「だからさ、こうやって二人でダラダラ時間気にしないで寝てんの、ずっと夢だったんだ」
クマばっか作ってるとあっという間に老けるぞ、と笑われた。
「眠れないっつーんだったら、俺の眠気を分けてやろう」
ニッと笑ったと思うと、ごつんと額をぶつけてきた。
眠気が移るおまじない、と言って。
「そんで、これはおまけ」
触れたか触れていないかわからないくらいの素早さで、吉野は俺の口元にキスをしてきた。
ここで急に照れたのか、布団を被って丸まってしまった。
そして、わざとらしい寝息が聞こえてきた。
(…………こいつは)
どうも今年はプレゼントを渡すのを、先を越されてしまったらしい。
サプライズにもほどがある。
贈った本人はプレゼントだなどと毛ほども思っていないだろうが。
もらったものを粗末に扱っては罰が当たるのでありがたく受け取って、カーテン越しの日光が眩しくなるまで、吉野と二人で布団に包まっていた。
END
習慣とは恐ろしいものだ。
今も枕元の目覚まし時計に手を伸ばしたところで、ふと考えた。
(今日は休み……、か)
時計のベルが鳴らないように設定し、ごそごそと布団に戻る。
起きればやらなくてはいけないことなど山ほどあるので、普段は滅多に二度寝はしないのだが、
「……トリ、もうちょっと寝てよ……?」
吉野が半分寝言のような声で呼び掛けてきた。
俺を起きさせまいとするように、スウェットの裾を握っている。
昨晩ベッドの中で、吉野とクリスマスの朝は二人で昼まで寝ようという約束をしたのだった。
(今日くらいは仕方ないな)
いつもだったら一人で起きて吉野のために朝飯を作り、適当な時間には起きろと呼びに行くところだが、今朝は特別だ。
二度寝などほとんどしたことはないが、吉野を抱えて横になればあと一時間くらいは眠れるような気がする。
先日入稿が終わりやっと時間がとれたので、年末恒例の大反省会をしてやった。
当然、主に反省するのは吉野の方だ。
毎回毎回きつく反省させていては進行に差し障りがあるので、普段は気持ちを切り替えさせることに重点を置くのだが、
その分年末にまとめてきっちり反省してもらう。
どうして締切を破るはめになったのか。
進行のどこに問題があったのか。
スケジュール把握はきちんとできているのか。
余裕がない時期に遊んでいなかったか。
他の作家はどれくらい早く原稿を上げているのか。
エメラルドの看板作家としての自覚はあるのか。
等など、次から次へとキリがないほど言い聞かせた。
一応吉野は神妙な顔で聞いていたが、来年こそ締切を守るようになるかは甚だ疑問である。
何時間もぶっ通しで反省会をすれば、当然終わる頃には俺も吉野もぐったりしているが、それでも一日でまとめてやってしまう方がいい。
吉野に言いたいことがあるならば、この時に全部言ってしまわなければ、
この後、つまりクリスマスを吉野と過ごすに当たってつまらないことを引き摺ってしまう可能性がある。
気持ちの切り替えが必要なのは俺も同じなのだ。
特に吉野と付き合い始めてからは、なるべく仕事を切り離した二人の時間を作るように心掛けている。
二人きりでいられる時間がそもそも多くないので、つまらない仕事のイライラで水を差されるのは、俺としても不本意だ。
そんなわけで24日、25日は土日と重なったこともあり、無事に吉野と過ごすことができた。
イブである昨日は吉野に邪魔をされながらクリスマスらしい夕食を作り、俺の家でのんびりしていた。
プレゼントももちろん用意してあるが、吉野の『プレゼントはクリスマスの朝って決まってる』という主張により、まだ渡していない。
飯を食って、ケーキを食べて、そのまま慌ただしく抱き合った。
どうせ明日も二人でいるのだから、そんなに急くことはないとは思うが、満足気な吉野の顔を見ていたら我慢ができなかった。
指を滑り込ませた吉野の素肌はいつもよりも熱く、欲情していることが直に伝わってくる。
口にこそ出さないものの、早くとねだられて悪い気はしない。
むしろ歯止めが利かなくなる。
服を剥ぎ取り、思う存分唇を吸い、吐息も漏らさないように折り重なった。
夕食の後片付けも忘れてリビングで貪り合い、最終的に二人ともベッドに沈んだ頃には日付はとうにイブからクリスマス当日へと移っていた。
(……食器、そのままだな)
まだうつらうつらしている吉野の髪を撫でながら昨夜の情事を思い出していたら、ついでにどうでもいいことまで思いだしてしまった。
油っこい料理が多かったので、せめて皿を洗い桶に浸けておけばよかった。
料理はほとんど吉野が平らげたから、冷蔵庫に入れておかなくてはいけないものはなかったはずだ。
朝食を作る前にするべきことをあれこれと考えていたら、すっかり目は冴えてしまった。
時々俺のベッドでぐーすか寝ている吉野を眺めながら、よく寝る奴だと感心していたけれど、なるほど寝るのにも才能がいるのかもしれない。
少なくとも自分に二度寝の才能はないようだ。
ごろりと吉野の方へ向き直り、肩ごと抱え込むと、むにゃむにゃと抗議の声を上げた。
「おい…、起こすなって……。お前もまだ寝てりゃいいじゃん」
「寝れん」
「……はあー?お前いっつも睡眠時間短いくせに、こういうときくらい寝溜めしておかねーと…」
俺のことを気遣ってくれているのはわかったので嬉しくないこともないが、だからといって眠れないものは眠れない。
吉野の寝顔を見ているのも悪くないが、のんきな顔で寝ている姿を見ながら片付けのことを考えるのもなんとなく腹が立つ。
そういえば26日に提出するカラーも、まだこいつは終わらせてなかったのではないか。
「おい、本当に昼まで寝てるつもりか」
「……約束したじゃん。つか、夢だったんだって」
「?」
そう言うと吉野は俺の顔を両手で挟み込むようにして、見つめてきた。
「大体お前と寝ててもさ、お前のが先に起きてんじゃん。下手すると俺が起きる頃にはいなかったりするし」
「それは俺が遅刻するから、」
「だからさ、こうやって二人でダラダラ時間気にしないで寝てんの、ずっと夢だったんだ」
クマばっか作ってるとあっという間に老けるぞ、と笑われた。
「眠れないっつーんだったら、俺の眠気を分けてやろう」
ニッと笑ったと思うと、ごつんと額をぶつけてきた。
眠気が移るおまじない、と言って。
「そんで、これはおまけ」
触れたか触れていないかわからないくらいの素早さで、吉野は俺の口元にキスをしてきた。
ここで急に照れたのか、布団を被って丸まってしまった。
そして、わざとらしい寝息が聞こえてきた。
(…………こいつは)
どうも今年はプレゼントを渡すのを、先を越されてしまったらしい。
サプライズにもほどがある。
贈った本人はプレゼントだなどと毛ほども思っていないだろうが。
もらったものを粗末に扱っては罰が当たるのでありがたく受け取って、カーテン越しの日光が眩しくなるまで、吉野と二人で布団に包まっていた。
END
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