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絵とか文のBL2次創作サイト(純エゴ、トリチア、バクステの話が多いです)
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2013年の春コミで出したミステイク本の再録です。
普段はトリチアサークルで出てたんですが、思い立ってミスの本を出してみたくなったのでした。
書き慣れてないせいかけっこう苦戦した覚えがあるんですが、本を出そうと思いついたきっかけの部分は達成できたんじゃないかなあと思います。
読み返すといちゃいちゃが少なくてわりと硬派な話になってるな~。

長いのでブログ記事だと読みにくかったらすいません。







+ + + + + + + + + +






朝比奈はいわゆる「いい子」だ。

真面目で礼儀正しく、親切で勤勉。ただし俺に対してはおそろしく慇懃無礼な暴言を吐く。従順な部下の顔をしながらバカ取締役だのアホ専務だの言いたい放題だ。
昔はかわいかったよなあと思いつつ、俺はほのかな罪悪感を覚える。俺があいつの性格をねじ曲げたんじゃないのか、という話だ。
子供の頃の朝比奈は気弱で素直で、少なくとも皮肉なんて言う奴ではなかった。最初の頃は俺がどんな無茶を言っても、はい、と頷くだけだった。それが俺のお世話係として頭角をあらわしてきたことで、昔の面影が嘘のように説教と口答えをするようになり、完全に言いたい放題だ。
勿論朝比奈に恩を着せたいわけじゃない。
朝比奈の親に色々あったのは朝比奈自身の責任じゃないし、俺だって俺自身が何かしたわけじゃなくて、単なる恩人の息子だ。親父に対して恩義を感じても、別に俺に対して感じる必要はない。だから俺が、朝比奈のくせに、とか、部下の分際で、みたいなことを言っても、それは売り言葉に買い言葉というやつだ。そんなことを言える権限はないと思っている。
朝比奈に、俺の部下に甘んじている理由は実はあまりない。
例えば朝比奈が丸川以外の会社に入っていれば、俺との間に上下関係はないに等しい。(そもそも俺が入社した頃は朝比奈の方が先輩だったのだ)
主従というより主従ごっこだ。
要するに俺がこの関係を朝比奈に強いているわけで。封建社会から脱却して久しいこの現代日本において、年端もいかない子供に主従関係を強いるというのは人格形成においてかなり害悪だったのではないだろうか。
(害悪、は言い過ぎかもしれんが)
とりあえず朝比奈は普通に育ったとは言い難いところがある。
しかも俺のせいで、だ。
昔の朝比奈と今の朝比奈を思い浮べながら、俺はそんなことを考えるのだった。







例えば出版社のパーティーともなれば、右へ接待、左へ接待で、朝比奈の姿など目に入らない。こういう場ではあまり秘書として顔を出したくないらしく、なんとなくいつも俺の後ろに控えている。俺はもう朝比奈にちょっかいを出している暇はないので、正直こういう時に朝比奈が何をやっていてもわからない。
しかし何をやっていても、とは言っても、朝比奈が何かやらかすようなことは考えにくいので、端的に言えば放置だ。用事がある時だけちゃんと近くにいてくれればそれでいい。
朝比奈がまだ編集の職に就いていた頃は、ここぞとばかりに異性に囲まれていたが、俺の秘書になってからはそういうこともなくなった。パーティが終わればどこからともなく姿をあらわし、どうせ俺といっしょに帰宅の途に着くことになるのだ。
それが俺と朝比奈の普通で、今日も当然そうなることと思っていた。
ところが今日はパーティが終わっても、朝比奈は姿を消したまま俺の前にはあらわれなかった。




「おい、朝比奈」
いつものように周囲を見ずに呼び掛ける。
近くに控えているかは確認していないが、基本的に呼べば朝比奈は必ず側で答えてくれた。
「……朝比奈?」
返事がなかったのでもう一度呼び掛けたが、やはり反応はない。
そこで初めてきょろきょろと辺りを見渡したのだが、朝比奈はどこにもいなかった。
(親父にでも捕まってるのかね)
俺を差し置いて朝比奈に用事を言い付ける人間はそれほどいないはずだ。招待客を滞りなく送り出しながら朝比奈を待ったが、姿をあらわさなかった。
朝比奈は俺のものではあるが、俺の保護者ではないので先に帰るとか何とかメールをしておけばいいだけの話かもしれない。だけどそれが妙に寂しいことのように思えて、人のまばらになった会場で一人ぼーっと立っていた。
「専務、どうされたんですか」
不審につっ立っている俺を見かねたのか、営業の奴が声をかけてきた。
「いや、うちの秘書が見当たんねえなーと思って」
やっぱりメール一本入れて先に帰るか、と思いながらそう答えると、そいつはハッとした顔になった。
「もしかしてまだ専務の耳には……?」
「おい、どういう意味だそりゃ」
俺が尋ね返すと、気まずそうな顔をされた。おそらく俺に告げていいものか迷っているのだろう。ここで下手に口をつぐんでもどうせ社内のことは俺の耳に入るからと言って諭すと、ようやく口を割った。


「朝比奈が謹慎処分……!?」
告げられた言葉は予想だにしない内容だった。
俺に対して暴言は吐いても、対外的には品行方正で通る男だ。真面目で筋の通らないことは嫌いな奴だと思う。そんな朝比奈が一体何をしたというのだ。
「あ、いえ、さっきのことなので処分がどうなるかはまだわからないそうなのですが……」
自分で直接見聞きしたわけではないので、と前置きをしてそいつは話し始めた。
「大事な招待客に朝比奈が暴行?んなことあいつがするわけねーだろ」
「それは私も思いますが……」
重々しい顔つきで告げられた内容に、俺は鼻で笑ってしまった。もちろん横領だのセクハラだのでも信じないが、特に暴行なんて朝比奈と縁のない言葉にも程がある。昔自分がひどく傷ついたことがあるせいで、人を傷つけるような真似はしない男になったのだと思う。
初めて出会った日の、包帯だらけの朝比奈の姿を思い出して、俺は少しだけ胸が苦しくなった。
とにかく俺は朝比奈が暴行なんて絶対に信じないし、どうせ見間違いだと思う。
(だけど、もし万が一本当だったら……?)
信じられないけれどもし本当だったとしたら、俺にも責任があるのではないだろうか。直接的な原因は知らないが、朝比奈を現在のような人間にしたのは間違いなく俺だ。そういう責任と自負と自惚れがある。人を下僕にするというのはそういうことだ。



その場に立ち尽くして考え込んでしまった俺に一礼して、営業の男は去っていった。俺も朝比奈に打とうと思っていたメールの画面を閉じ、タクシー乗り場へ向かう。
(昔の……あの頃の朝比奈を取り戻すのも、俺の責任ってことか)
俺が朝比奈の人格形成に悪影響を与えているとすれば、俺は主人としてそこから解放してやる義務があるだろう。
「まるで雪の女王だな」
タクシーの後部座席で、誰に聞かせるわけでもなくつぶやく。
悪魔の鏡の破片が目に入り、やさしかった少年を冷酷に変えて連れ去った雪の女王。他愛もない童話の悪役が、自分の姿と重なって見える。
気付いてしまったからには、俺も朝比奈を帰してやらなくてはいけない。
(帰す……?誰のところに?)
ずきん、と未だ消化しきれていない朝比奈への恋愛感情が疼いた。
朝比奈は俺の部下であり恋人だ。これはもう誰に何を言われても譲るつもりはない。だけど、朝比奈は井坂家へ来なければ別の人生もあったのだろうと思うと、そのことに対して俺はどういうスタンスでいればいいのかわからなくなってしまう。もしもの仮定を考えるなんて馬鹿げたことだと思うけれど、朝比奈の人生における分岐の責任は確実に俺が負っている。
(そういや俺の家に来る前には、当然今とは別の人間関係があったってことだよな)
当時の朝比奈はまだ子供だったとはいえ、小学校にはそれなりに友人もいただろう。
例えば朝比奈の幼なじみか何かが突然あらわれて、昔の素直で穏やかな朝比奈を返してくれと言われたら?
「……馬鹿馬鹿しい被害妄想だな」
そうひとりごちてみるけれど、一度ざわめいた胸は簡単には凪いでくれなかった。


結局その日は朝比奈から連絡が届くことはなく、明朝の会議に遅刻しないようにきちんと目覚まし時計をセットして眠りについたのだった。




翌朝は目覚めがいいのか悪いのか、よくわからない朝だった。
目覚まし時計一発で起きたけれど、夢の中の朝比奈の姿が脳内にこびりついたままだった。
(朝比奈の夢とか久々に見たな)
朝比奈の感触がまだ残っているような気がして、手を握ったり開いたりしてみる。
あいつに片思いしていた頃は、よく夢を見ていた。不毛な思いがダイレクトに反映された、青臭い夢だ。
どうせ叶うことのない恋だと思っていたけれど、あきらめるにはあまりに距離が近過ぎた。手を伸ばせば届く距離にいつでもあいつはいて、それが余計にもどかしかった。
(……別に欲求不満じゃないと思うんだが)
夢の中ではいつも俺が朝比奈を押し倒していた。朝比奈の驚いた顔を無視して、乱暴に床へ押さえ付けて服を剥ぐのだ。そのまま荒々しく噛み付いて、唇を塞いで、初めてそんな夢を見た時は自分が何を望んでいるのかわからなくて戸惑ったものだ。
たぶん、夢では自分の欲望が逆転して反映されるのだと思う。つまり俺が夢で朝比奈にしていたことは、俺が朝比奈にされたいと思っていることだってわけだ。
二十歳前後の男に強い性的衝動があったって何とも思わないが、自分が女のように朝比奈に求められたがっていることに気付いた時は衝撃だった。普通なら異性に向けられるべき朝比奈の感情を、自分に対して解放してほしいだなんて、妄言もいいところだ。
結局何の因果かその欲求は叶ってしまったわけだが、あの時朝比奈が躊躇なく俺を抱いたのは、告白した時にそのあたりの欲望も同時にばれたのではないかと思っている。何となくこのスタイルは朝比奈に世話をさせるのが好きな俺に合っていると思うし、今でもタチネコをひっくり返したいとは思わない。
ただ昔夢に見たような朝比奈の驚いた顔を、いつか余裕のある時に拝んでやりたいと思うくらいだ。哀れにも嗜虐的な女王の下僕にさせられた往年の純真な少年にいささか同情をした。




(しかし連絡がこねえな)
朝の弱い専務を起こしにくるのは業務外ではあるが、出勤しても朝比奈がいなかったらどうしよう、という一抹の不安に駆られる。朝比奈がどうしているかなんて俺か朝比奈の親に聞けばわかるとは思うのだが、気のせいか昨晩から皆俺に対してよそよそしい感じがしていたので問い詰めることもできなかった。
何より、俺自身が朝比奈から直接何があったのかを聞きたかった。
もやもやした気持ちを顔に出さないようにしながら出社し、専務室のパソコンを立ち上げていると、ドアをノックする音がした。
「どーぞ」
失礼します、と入ってきたのは朝比奈ではなかった。
「本日よりしばらく代理で秘書業務を務めさせていただきます。ご用事がありましたら何なりとお申し付けください」
「……ああ、よろしく」
専務室に入ってきたのは総務の女性社員だった。秘書経験のある社員なので臨時に役割を振られたのだろう。そして、彼女に朝比奈のことを尋ねてもおそらく何も知らないだろうと思われた。
ため息をぐっと我慢してメーラーを開くと、一通の新着メールが目についた。

差出人:朝比奈薫
件名:昨日のことと今後について

震える手でメールを開こうとしたが、会議の時間が迫っていることに気付き、無理矢理メール画面を閉じた。



会議になんか集中できるわけない、と思いながらも会議中頭の中は気持ち悪いくらい冴えていた。
「専務、何かあれば……」
「大方はいいと思うが、数字の見積もりだけ少し甘いんじゃねえの?前の企画の最終的な数字見たか」
「あっ、すみません。至急確認します」
ずっと朝比奈のことばかり考えているくせに、目は普段どおり企画書の数字を追い、勝手に口から指摘が飛んでいく。
「ご指摘ありがとうございます、専務。もう少し下方修正して予算を検討したいと思います」
「内容自体は悪くないから、営業も経理も納得するような企画書にしてやんな」
「はい、ありがとうございました」
何人かの視線が、今日の専務は少しおかしい、と言いたげな目をしている。言わんとすることはわかる。朝比奈がいないと急に真面目に仕事をし始めるのが俺の習性だ。
口うるさく叱ってくれる奴がいないと、不真面目にしていてもつまらない。さらに今日は一秒でも早く会議を終わらせたいので、余計な茶々を入れている暇もない。
昔もこんなことがあったな、などと思いながら議題を進めるよう促した。こうしてさくさくと会議は終わり、俺は再びパソコンの前へ駆け戻った。
一つ深呼吸をしてから、朝比奈のメールを開く。

『昨晩は連絡も入れずにご迷惑をおかけしました』

律儀な朝比奈のメールは、そんな書き出しから始まった。
こういう時ですら部下と上司という形を崩さない朝比奈のことがもどかしい。困ったことがあれば、俺に泣きつけばいいのに。俺の迷惑など考えず、夜中でも何でも電話してきて取り乱せばいいのに。
(……朝比奈がそういう奴じゃないってのはわかってるんだけど)
首を振って不毛な期待を吹き飛ばし、メールの続きを読んだ。


内容は簡潔だった。
昨夜のパーティで、招待客に失礼な振る舞いをしてしまったこと。朝比奈の進退は親父に一任され、正式に処遇が決まるまで出社できないこと。このことは現場にいた人間と一部の役員しか知らないこと。それから、総務から代理で人をよこすが在宅でできる仕事があれば言い付けてほしいということ。

箇条書きで書かれたメールの文章を見て、つまらない内容だな、と思った。ここまでの内容に俺が求めていた情報はない。いずれも朝比奈から言われずともそのうちにわかることだ。
そうして極めて事務的な詫びと用件を書き並べたあとに、数行あけてこんな内容のことが書いてあった。


『直接龍一郎様のところへ顔を出せず申し訳ありません。厚かましい申し出ですが、私に少し時間を頂けないでしょうか。』
そして、
『私は必ず龍一郎様のもとへ戻って参ります』
そう文章を締め括っていた。


パソコンの前で、しばし俺は固まっていた。
朝比奈が何を考えているのかわからないのはいつものことだ。だけど、今回のことは異常事態だと俺の本能が告げている。
朝比奈は一体何をしようとしているのか。
(どうして俺を頼らない?)
朝比奈に何か困ったことがあれば、それが何であれ俺は解決する力を持っていると思っていた。それは自惚れだったというのだろうか。
「………くそ…ッ」
朝比奈が隣にいればたしなめるであろう大きな舌打ちをして、机を蹴った。
今日ほど終業が待ち遠しい日はなかっただろう。普段ならば専務&七光りの特権と称して書類を放り出すところなのに、隣にお目付け役がいないだけでこんなにも俺は常識的な仕事人間だ。
とりあえず本日終わらせるべき仕事を片付ける目算をし、時計を睨んだ。
(俺はもう本当に欲しいものを見失うような真似はしない)
だけど、もし、という泣き言は封じ込め、自分に暗示をかけるようにつぶやいた。
朝比奈に対して俺はどうしてやるのが最適なのかはわからない。だが、手持ちの情報がほとんどないのにゴールを決め付けてしまうのは愚策としか言いようがない。
何があっても朝比奈は俺のものだ。
例え朝比奈の本来の姿がどんなものであったとしても、だ。
善良な少年を籠絡し、下僕にした俺は悪魔だと指をさされるかもしれないが、それでもいい。そんなことは百も承知だ。


内線電話の受話器を取り秘書代理を呼び出すと、片っ端から仕事を言い付けた。そして少し迷ったけれど、朝比奈に頼む方が確実な仕事はメールで指示することにした。
感情を悟られないようにできるだけ事務的な文面にしたけれど、メールの最後にこう付け加えた。

『お前がどこにいようとも、俺から逃げることは不可能だと覚悟しておけ』

恋人へのメールとは思えない殺伐さに我ながら呆れたが、すぐに朝比奈からこんな返事が来た。

『あなたに会った時から心得ております』

そのたった一言で心が満たされる気分になる俺は、実はかなりちょろい男なのだと思う。どんな顔でメールを返してきたのか想像しながら、
その日は黙々と仕事をこなしたのだった。



結局仕事を終わらせたあと朝比奈の部屋へ行ったのだが、そこはもう留守だった。
何となく予想できたことだったのでことさら落胆はしなかったものの、代わりに手がかりもなかった。おそらく朝比奈の意味深な言葉は、しばらく俺の前に姿を見せないという意味だろう。
その場で朝比奈に電話をして居場所を吐かせることもできたが、俺は妙な考えを起こしたのだった。
(自力で朝比奈を探し出す)
馬鹿な妄想だと笑われるかもしれないが、不思議とそうしなければ朝比奈に会えないような気がした。朝比奈をめぐった見えない何かとの分取り合戦か、と自分で自分に失笑した。
ただ朝比奈が素直に行き先を教えるのであればすでに昼間のメールに記してあるだろう。俺に知られたくないという意志を感じ取ったので、勝手に暴いてやることにした、というのが適当な表現かもしれない。
朝比奈もどうせ俺がそういう男だと十二分に承知済みのはずだ。
朝比奈本人が不在でも、俺はこの部屋の合鍵を持っている。
四六時中朝比奈は俺の側にいるので合鍵を使うことはほとんどなかったが、これを持っているということはすなわち家主の許可をその都度得なくても部屋に入っていいということだ。
かちゃりと鍵を回して誰もいない部屋に入ると、さっきまでの強気と裏腹に急激に心細さが込み上げてきた。
「……朝比奈」
いないとわかっているのに、無人の部屋へ呼び掛ける。朝比奈の生活痕を探して部屋をうろつき、ベッドへ辿り着いた。几帳面なあいつらしく、シーツから何からきちんと畳まれている。
何も敷かれていない裸のベッドに腰掛け、そのまま横になって天井を見上げた。
(見慣れた部屋のはずなんだが)
いつも俺がこの部屋でごろごろしていると早く帰れと言い出す朝比奈がいないだけで、全然知らない部屋のように感じた。
そういえばここへ引っ越してきた時も、俺に一言も相談がなかったな、と思い出す。雨の中びしょびしょになりながらこの部屋へ辿り着き、必死で朝比奈に縋り、あいつの告白を聞き、バスルームで抱かれ、それ以来朝比奈は俺の恋人だと思ってきた。いや、朝比奈も一応そう認識しているはずだ。
だけど俺がずっと求めていたのは、俺の作り上げた朝比奈ではなかっただろうか?お節介で口うるさいところまで、だ。
本来なら叱ったり世話を焼いたりなど必要ない人間なのに、それを強いた上で形成された人格を好きになるとは、俺は歪んでいるのではないだろうか。
(まだ足りない)
付き合い始めてから十年も経つのに、未だにそう思う。俺の知らないあいつを知った上で、それでも好きだと言いたい。たぶん俺はそう言わなくてはいけない。


ふいに疲労感が睡魔となって俺を襲いにきた。
「……寝るか」
家に帰るのも億劫だったので、俺はこのまま朝比奈の部屋に泊まることにした。
スーツをきちんとハンガーにかけ、Yシャツは少し大きいかもしれないが朝比奈のを借りよう。朝飯はどこかで適当に食べればいい。
一人で丸まって眠る朝比奈のベッドは妙に冷たく、もう春は近いというのに雪でも降るのではないかと思うほどだった。





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